キャッシュレスで「つい使いすぎ」を防ぐための基本的な考え方と具体的な対策
キャッシュレス決済は、小銭のやり取りが不要で、ポイントが貯まるなど、大変便利なものとして多くの方に利用されています。しかし、「気づけば予定より多く使っていた」「お金が減っている感覚がわからず不安」といったお気持ちを抱えている方もいらっしゃるかもしれません。
キャッシュレス決済における「使いすぎ」は、多くの方が経験する可能性のある心配事の一つです。このコラムでは、キャッシュレス決済を安心して利用できるよう、使いすぎを防ぐための基本的な考え方と、今日から実践できる具体的な対策について、わかりやすくご説明いたします。
キャッシュレス決済で「つい使いすぎ」てしまう背景
なぜキャッシュレス決済では、ついお金を使いすぎてしまいがちなのでしょうか。その背景には、いくつかの理由が考えられます。
- 現金が減る感覚の薄さ: 現金を使う場合、お財布からお札や小銭が減っていくのを視覚的に確認できます。しかし、キャッシュレス決済では、スマートフォンやカードを提示するだけで支払いが完了するため、お金を使っている感覚が希薄になりやすい傾向があります。
- 利用手段の多様性: クレジットカード、スマートフォン決済(〇〇ペイ)、電子マネーなど、キャッシュレス決済には様々な種類があります。複数の決済手段を使い分けていると、それぞれでいくら使ったのか、全体の支出を把握することが難しくなることがあります。
- ポイントやキャンペーンへの意識: ポイント還元やキャンペーンは魅力的な要素ですが、「ポイントがたくさんつくから」という理由で、本来必要なかったものまで購入してしまうこともあります。
- 決済の手軽さ: スマートフォン一つでいつでもどこでも簡単に決済できる手軽さが、計画性のない支出につながることがあります。
「使いすぎ」を防ぐための基本的な考え方
キャッシュレス決済で使いすぎを防ぐためには、いくつかの心構えが大切です。
- 予算を決めることの重要性: 毎月、キャッシュレス決済でいくらまで使うかをあらかじめ決めておくことが第一歩です。生活費全体の中で、食費や趣味に使うお金など、費目ごとに予算を設定することも有効です。
- 利用状況を定期的に確認する習慣: 「いくら使ったか」を把握しなければ、使いすぎを防ぐことはできません。週に一度、あるいは月に一度など、決まったタイミングで利用履歴を確認する習慣をつけましょう。
- 現金と併用する選択肢: 全ての支払いをキャッシュレスにする必要はありません。例えば、日常の買い物は現金で、光熱費などの固定費はキャッシュレスで、といったように、ご自身が管理しやすい方法で現金とキャッシュレス決済を使い分けることも賢い選択です。
実践できる具体的な対策
ここからは、実際に「使いすぎ」を防ぐために試せる、具体的な対策をご紹介いたします。難しい操作は必要なく、比較的シンプルなものを選んでおりますので、ぜひご自身に合った方法を見つけてみてください。
1. プリペイド方式の活用
プリペイド方式とは、事前にお金をチャージ(入金)して、そのチャージした金額の範囲内で利用する仕組みのことです。交通系ICカード(SuicaやPASMOなど)や、特定の電子マネー(nanacoやWAONなど)がこれにあたります。
- メリット: チャージした金額以上は使えないため、使いすぎの心配がありません。お小遣いのように、計画的に利用することができます。
- 利用方法の例:
- コンビニエンスストアのレジでチャージする。
- 銀行口座と連携して、スマートフォンアプリからチャージする(連携はご自身の判断で行ってください)。
2. デビットカードの利用
デビットカードは、お支払いと同時に銀行口座から代金が引き落とされるカードです。クレジットカードと異なり、口座にある残高以上は利用できないため、使いすぎを防ぐことができます。
- メリット: 銀行口座の残高を常に意識して利用できるため、計画的な支出につながります。
- クレジットカードとの違い: クレジットカードは、カード会社が一時的に支払いを立て替えるため、後日まとめて引き落とされます。デビットカードは即時引き落としです。
3. 利用通知機能の設定
多くのキャッシュレス決済サービスには、決済が行われるたびにスマートフォンに通知が届く機能があります。この機能をオンに設定しておくと、お買い物のたびに「お金を使っている」ことを意識しやすくなります。
- メリット: リアルタイムで支出を把握でき、お金が減っている感覚を保ちやすくなります。
- 設定方法の例: 利用しているスマートフォン決済アプリやクレジットカード会社のアプリの設定画面で、「プッシュ通知」や「利用速報」といった項目を探し、オンに設定してください。設定方法はサービスによって異なりますので、もしご不明な場合は、各サービスのウェブサイトやカスタマーサービスでご確認ください。
4. 定期的な利用履歴の確認
前述の通り、定期的に利用履歴を確認する習慣は非常に大切です。
- 確認のタイミング: 週に一度、または月に一度、ご自身の都合の良いタイミングで確認日を決めておくと良いでしょう。
- 確認方法の例:
- スマートフォン決済アプリの「履歴」や「明細」の項目を見る。
- クレジットカード会社のウェブサイトやアプリにログインして、利用明細を確認する。
- デビットカードも同様に、銀行のウェブサイトやアプリから履歴を確認できます。
何にいくら使ったかを振り返ることで、次の月の使い方を考えるきっかけにもなります。
5. 利用上限額の設定
一部のクレジットカードや電子マネーでは、ご自身で月間の利用上限額を設定できるサービスがあります。この設定をしておけば、設定した金額を超えて利用することはできません。
- メリット: 事前に決めた予算を自動的に守ることができます。
- 設定方法の例: ご利用のクレジットカード会社や電子マネーサービスのウェブサイト、またはアプリから、利用限度額の変更設定を探してみてください。
6. ポイントやキャンペーンとの付き合い方
ポイントやキャンペーンは魅力的ですが、それだけに目を奪われて不要なものまで買ってしまうと、結果的に損をしてしまうことにもなりかねません。
- 大切なこと: 「本当にそれが必要か」を常に考える習慣を持ちましょう。ポイントはあくまでおまけと考え、必要なものを買う際に利用する、という基本姿勢を忘れないでください。
もし「使いすぎてしまった」と感じたら
万が一、「今月は使いすぎてしまったかもしれない」と感じた場合でも、焦る必要はありません。
- まずは利用履歴の確認: 落ち着いて、すべてのキャッシュレス決済の利用履歴を詳細に確認しましょう。何にいくら使ったのかを具体的に把握することが大切です。
- 今後の利用計画の見直し: 今回の反省を活かし、次からの予算設定や利用方法について見直す機会にしてください。無理のない範囲で、少しずつ改善していくことが大切です。
困った時の相談先
キャッシュレス決済に関するご不明な点や、不安なことがあった場合は、一人で抱え込まず、信頼できる相談窓口を利用しましょう。
- 消費者ホットライン: 全国の消費生活センター等につながる共通の電話番号です。
- 電話番号: 188(いやや!)
- 各キャッシュレス決済サービスのカスタマーサポート: ご利用の決済サービスを提供している会社の窓口です。アプリやウェブサイトに連絡先が記載されています。
- 金融機関の相談窓口: デビットカードや銀行口座に関するご相談は、ご利用の金融機関にご連絡ください。
- ご家族や信頼できる知人: デジタル機器の操作など、身近な方に相談するのも良い方法です。
結び
キャッシュレス決済は、私たちの生活を豊かにする便利なツールです。しかし、その利便性ゆえに「使いすぎ」のリスクも存在します。このコラムでご紹介した「基本的な考え方」と「具体的な対策」を参考に、ご自身に合った方法でキャッシュレス決済と賢く付き合い、安心してその恩恵を享受していただきたいと思います。